研究の内容
 持続可能なモビリティシステム研究拠点(以下、「本拠点」という)では、環境配慮・効率性・社会包摂を同時に達成する持続可能な交通システムの実現を目指して、以下の研究課題に取り組んでいます。


① 交通手段の選択を支援する情報提供システム
 人々のかしこい交通手段の選択を支援するための情報提供のあり方を研究します。Mobility as a Service (MaaS) の発想で、公共交通やshared mobility(カーシェア、ライドシェアなど)の非私的交通手段群の情報の統合やサービスの連携を図り、都心および郊外の移動における自家用車への過度な依存からの脱却を促進します。

② 自家用車を代替し得る新たな交通手段
 高齢化と低密度化が進行する大都市郊外住宅地を対象に、持続可能な自家用車代替交通手段のあり方を研究します。地域に根差した財政的に持続力の高い移動サービスを実現するため、すべての人々が無理なく利用できるサービス形態と、その計画、運営に地域居住者が積極的に関与する仕組みを構築するとともに、エネルギーマネジメントなど他分野との技術連携(例えばEVによる系統負荷周波数制御)による費用効果拡大の可能性を研究します。

③ 交通構成要素の空間デザイン手法
 上記②の移動サービスの提供に用いられる車両の車内空間、同車両に乗降するための乗り継ぎ空間、および乗り継ぎ空間にアプローチするための街路空間のデザイン手法を研究します。移動サービスを地域のモビリティとして定着させるための車内空間、待合空間、交通路のあり方、その設えと機能、ソーシャルキャピタル形成への寄与といった視点から、モビリティシステムを構成する空間要素の包括的な設計手法を構築します。

④ 交通インフラの機能保持と運用効率化のための方策
 上記②の移動サービスの基盤となる道路、とりわけ市区町村管理道路(生活道路)の機能を将来にわたって保持していくための方策として、道路維持管理情報のプラットフォーム化、データ収集・連携の高度化、AIによる路面性状評価システムの構築などに取り組みます。また、自動車系移動サービスの結節点となる駐車施設の運用を改善もしくは効率化するための方策についても研究します。

⑤ 交通対応型のデータ基盤
 上記①の情報提供システムの基盤地図データやアプリユーザーのアクティビティログデータ、②の移動サービスの運行管理データ、④の道路維持管理データ、およびそれらデータの解析や相互連携のためのモジュール群を格納・管理するための、交通系サービスに特化したプラットフォームを整備します。また、各種アプリケーションや移動サービスの実証実験の進展に伴って蓄積されるデータを、公共交通システムの運用改善や道路の維持修繕計画などにフィードバックするための手法を研究します。

⑥ TOD型まちづくりと公共交通計画
 上記①~⑤のローカルで実際的な取り組みと並行して、都市そのものを自家用車に過度に依存しない持続可能な構造に誘導していくための計画手法を研究します。公共交通指向型開発(Transit Oriented Development: TOD)の考え方に基づき、先進都市の事例調査やパーソントリップデータ等の分析をベースに、鉄道駅等の交通結節点を中心としたまちづくりと、その骨格としての公共交通のあり方を研究します。